土地探し DRAFT

未公開物件の探し方

未公開物件の探し方を知る前に押さえたい「流通の構造」

住まい探しを進めていると、「未公開物件」という言葉に出会います。SUUMO・HOME’S・at homeといったポータルサイトに掲載されていない物件が存在し、その中に掘り出し物があるのではないかと期待するのは自然な反応です。ただし未公開物件の探し方を知るには、不動産情報がどのような経路で流通しているかを理解しておく必要があります。この記事では宅地建物取引業法(宅建業法)の規定に基づいて物件情報の流れを整理し、未公開物件が生まれる仕組み、具体的な探し方、注意すべきリスク、出会ったときの初動チェックまで体系的に解説します。

未公開物件とは何か

未公開物件とは、不動産ポータルサイトやレインズ(REINS: Real Estate Information Network System)に掲載されていない売却物件の総称です。「非公開物件」「水面下物件」と呼ばれることもあります。

未公開と一口にいっても、情報の開示段階によって実態は異なります。

最も多いのは2番目の「レインズには載っているがポータルには出ていない」パターンです。仲介会社にはポータルサイトへの掲載義務がないため、レインズ登録後も自社顧客への優先紹介にとどめるケースが少なくありません。

物件情報が流通する仕組み

不動産の売却情報は、売主の手を離れてから買主に届くまでに複数の段階を経ます。この流通構造を把握すると、未公開物件が「どの段階で」生まれるのかが見えてきます。

売主が不動産会社に売却を依頼すると、まず売主と仲介会社のあいだで媒介契約が締結されます。媒介契約には3種類あり、それぞれレインズへの登録義務と報告義務が異なります。

項目一般媒介専任媒介専属専任媒介
複数社への依頼不可不可
レインズ登録義務なし契約翌日から7営業日以内契約翌日から5営業日以内
業務報告義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上
売主自身による直接取引不可

この表からわかるとおり、一般媒介契約ではレインズ登録義務自体がありません。売主が一般媒介を選んだ時点で、その物件はレインズにもポータルサイトにも掲載されないまま取引が成立する可能性があります。

専任媒介・専属専任媒介の場合でも、登録義務は契約締結の翌日から起算して7営業日以内(専属専任は5営業日以内)です。この猶予期間中は「合法的に未公開」の状態にあります。加えて、レインズに登録された後もポータルサイトへの掲載は仲介会社の裁量に委ねられているため、レインズ上にだけ存在する物件は相当数あります。

この規定の根拠は宅地建物取引業法第34条の2にあり、東日本レインズの公式サイトでも媒介契約ごとの義務が明示されています(出典: 東日本不動産流通機構「媒介契約制度」)。

物件情報の伝播経路を時系列で整理すると以下のようになります。

売主が仲介会社Aに売却を依頼(媒介契約締結)。仲介会社Aはまず自社の顧客リストから買主候補を探す。この段階では物件情報はA社の内部にしかなく、完全な未公開状態です。

レインズ登録義務のある媒介契約であれば、期限内にレインズへ物件情報が登録される。登録後は全国の不動産会社がレインズで物件を検索できるようになり、他社の仲介会社Bが自社顧客に紹介できるようになる。ただしこの時点でもポータルサイトには載っていない場合がある。

仲介会社AまたはBがポータルサイトへの掲載を判断し、掲載手続きを行う。ここでようやくSUUMOやHOME’S等のサイトに物件情報が表示される。

「未公開物件」とは、この経路の途中段階で情報が止まっている物件を指しています。

未公開物件が生まれる5つの理由

物件が未公開になる背景は一様ではなく、売主側の事情と仲介会社側の事情が混在しています。

売主が公開を望まない

離婚、相続、住宅ローンの返済困難など、売却の背景を近隣住民に知られたくないという売主は少なくありません。ポータルサイトに物件写真と住所が掲載されれば、近所の人がすぐに気づきます。居住中の物件では内見の調整にも気を遣うため、信頼できる買主候補が見つかるまで情報を限定したいという意向が働きます。

売り出し準備が整っていない

測量や登記の整理、残置物の撤去が完了していない段階ではポータルに掲載するための情報が揃いません。しかし仲介会社が既に買主候補を抱えている場合は、掲載前に先行して紹介が始まることがあります。この期間が「掲載前の未公開期間」に該当します。

一般媒介契約でレインズ登録義務がない

前述のとおり一般媒介にはレインズ登録義務がありません。地主が長年付き合いのある地元の不動産会社に一般媒介で依頼した場合、その物件はレインズにもポータルにも一切登録されないまま、地元の人脈だけで売却が成立することがあります。

好条件の物件は掲載前に買い手がつく

立地・価格・建物状態のいずれも優れた物件は、仲介会社の顧客リストに登録されている購入希望者に優先的に紹介されます。条件が良ければポータルに掲載するまでもなく申込みが入るため、結果的に未公開のまま成約に至ります。掲載にはポータルサイトへの広告料負担も伴うため、仲介会社にとっても自社顧客で成約できるほうが効率的です。

仲介会社が囲い込んでいる

仲介会社が売主から預かった物件を自社の顧客にだけ紹介し、他社からの問い合わせを意図的に排除する行為を「囲い込み」と呼びます。売主・買主の双方から仲介手数料を得る「両手仲介」を狙った行為で、売主にとっては購入希望者の母数が減り、売却価格や成約までの期間で不利になります。専任媒介・専属専任媒介でレインズ登録後に「商談中」と虚偽のステータスを表示するケースも報告されており、国土交通省も監視を強化しています。

未公開物件の具体的な探し方

未公開物件は受け身のポータル検索では見つかりません。能動的に情報源を広げるアプローチが求められます。

複数の不動産会社に希望条件を伝える

未公開物件の多くは、特定の仲介会社の顧客リストに登録されている購入希望者に優先して紹介されます。1社にしか相談していなければ、その会社が抱える物件しか紹介されません。3社から5社に希望条件(エリア・予算上限・間取り・最低面積)を伝えておくと、各社が保有する未公開物件を含めた提案を受けられる可能性が広がります。

条件を伝える際は「ポータルに載っていない物件があれば紹介してほしい」と一言添えましょう。購入の意思が明確な顧客には、担当者が優先的に未公開情報を共有する傾向があります。

地元密着型の不動産会社に相談する

大手仲介だけでなく、対象エリアに根差した地元の不動産会社も情報源として有力です。地主や古くからの付き合いがある売主から直接売却依頼を受けていることがあり、一般媒介でレインズに登録されないまま流通する物件を保有している場合があります。土地探しのタイミングと進め方でも触れていますが、土地の流通には地域のネットワークが大きく影響します。

ハウスメーカーや分譲会社の先行情報を得る

ハウスメーカーや分譲業者が新しい分譲地を開発する際、正式な販売開始前に既存の顧客リストへ先行案内を出すことがあります。住宅展示場でのアンケートや資料請求を通じて顧客リストに入っておくと、ポータル掲載前の段階で物件情報が届くことがあります。建築条件付き土地のメリット・デメリットで解説している「条件付き土地」も、分譲会社の先行案内経由で出会うケースが多い物件です。

物件情報一括請求サービスを活用する

希望条件を一度入力するだけで複数の不動産会社に情報提供を依頼できるサービスがあります。1社ずつ訪問する手間を省きつつ、各社が抱える未公開物件を含めた提案を並行して受け取ることができます。

複数の不動産会社に希望条件を伝えると、各社が保有する未公開物件を含む提案を受けられる可能性が広がります。物件情報一括請求サービスを活用すれば、1回の入力で複数社に依頼でき、自力では見つけにくい物件に出会える機会が増えます。

未公開物件の注意点

未公開という言葉には「掘り出し物」のような響きがありますが、未公開であること自体は物件の品質を保証するものではありません。

囲い込みのリスクを意識する

「この物件はうちだけが紹介できます」と仲介会社が強調する場合、囲い込みの可能性を疑う余地があります。囲い込みを完全に見抜くのは難しいものの、以下の点を確認することでリスクを減らせます。

媒介契約の種類を確認してください。専任媒介や専属専任媒介であれば、仲介会社にはレインズへの登録義務があります。「レインズに登録していますか」と直接尋ねることは買主の正当な確認行為であり、遠慮する必要はありません。

価格が割高でないかを検証する

「未公開だから安い」という法則は存在しません。むしろ未公開という希少性を演出して相場より高い価格を設定しているケースもあります。

価格の妥当性を確認するには、国土交通省の不動産情報ライブラリが有効です。対象物件と同じ市区町村・同程度の面積・直近の取引年度で検索すると、周辺の実際の成約価格を無料で閲覧できます。取引相場データベースでもエリア別の相場データを整理していますので、比較の参考にしてください。

物件自体に問題がないかを確認する

建物や土地に問題があるからこそ公開を避けている可能性もゼロではありません。再建築不可の土地、私道持分の問題、隣地との境界が未確定の物件、建物の構造上の瑕疵など、ポータルに掲載すると問い合わせ段階で指摘を受けやすい物件を未公開で売り抜けようとするケースが存在します。中古住宅購入のチェックポイントで解説している確認項目は、未公開物件であっても同じ基準で適用してください。

未公開物件に出会ったときの初動チェックリスト

未公開物件の紹介を受けた場合、以下の5項目を早い段階で確認しておくと判断の精度が上がります。

1つ目は媒介契約の種類の確認です。一般媒介なのか、専任媒介なのか、専属専任媒介なのか。これによりレインズ登録義務の有無がわかり、囲い込みの可能性を判断する材料になります。

2つ目はレインズ登録状況の確認です。専任媒介・専属専任媒介にもかかわらずレインズに未登録であれば、宅建業法違反の可能性があります。売主は仲介会社にレインズ登録証明書の交付を求める権利がありますが、買主側からも「レインズに登録されている物件ですか」と確認することは問題ありません。

3つ目は周辺取引事例との価格比較です。国土交通省の不動産情報ライブラリで、対象物件の所在市区町村における直近の取引事例を確認し、提示価格が相場の範囲内にあるかを検証します。

4つ目は重要事項説明書の内容確認です。内見後に購入を検討する段階で、重要事項説明書の事前取得を仲介会社に依頼してください。用途地域、建ぺい率・容積率、接道状況、インフラ、瑕疵履歴など、物件の法的・物理的な条件が記載されています。

5つ目は物件状況報告書(告知書)の確認です。売主が知っている物件の状況(雨漏り、シロアリ被害、近隣トラブル、心理的瑕疵等)が記載されます。未公開物件であっても、この告知書の提出は売主の義務です。

よくある質問

未公開物件は本当に存在するか

存在します。一般媒介でレインズ登録義務がない物件、専任媒介・専属専任媒介のレインズ登録猶予期間中の物件、レインズには登録済みだがポータルサイトに掲載されていない物件など、ポータルに出ていない売却物件は一定数あります。ただし「全体の何割が未公開か」に関する公式な統計は存在せず、仲介会社やエリア、時期によって変動します。

未公開物件は安いのか

未公開であることと価格の高低に因果関係はありません。売主が早期売却を希望して相場より低い価格を設定する場合もあれば、逆に相場以上の価格で出ている物件もあります。価格の妥当性は公開・非公開にかかわらず、不動産情報ライブラリの周辺取引事例と比較して判断してください。

レインズは一般の人も閲覧できるか

レインズは不動産業者専用のシステムであり、一般消費者は直接ログインして物件を検索することはできません。ただし売主には自分の物件がレインズに登録されているかを確認する権利があり、仲介会社に対して登録証明書の交付を求めることができます。買主の立場では、仲介会社を通じてレインズの情報を確認する形になります。

未公開物件を紹介してもらうのに費用はかかるか

物件の紹介段階で費用が発生することは通常ありません。不動産取引における仲介手数料は、売買契約が成立した場合に限って発生します(宅建業法第46条)。「紹介料」「情報提供料」「会員費」などの名目で紹介段階の費用を請求する会社がある場合は、その法的根拠を確認してください。

おとり物件と未公開物件の違いは何か

おとり物件とは、実際には取引の対象にならない物件を「存在する」かのように広告して顧客を引きつける行為で、宅地建物取引業法第32条および不動産の表示に関する公正競争規約で禁止されています。未公開物件は実在する売却物件が公開市場に出ていない状態を指すため、定義としては別物です。ただし「未公開物件がある」と謳いながら実際には該当する物件がないケースはおとり広告に該当する可能性があります。具体的な物件情報(所在地、面積、価格帯)の提示を求めて実在を確認することが自衛策になります。

まとめ

未公開物件は、売主の意向、媒介契約の種類、仲介会社の営業方針、掲載準備のタイミングなど複数の要因が重なって生まれます。宅建業法は専任媒介で7営業日以内、専属専任媒介で5営業日以内のレインズ登録を義務付けていますが、一般媒介にはこの義務がなく、レインズ登録後もポータルサイトへの掲載は仲介会社の判断に委ねられています。この構造を知ったうえで、複数の不動産会社に希望条件を伝えること、地元密着型の会社にも声をかけること、一括請求サービスで情報の網を広げることが、未公開物件に出会うための具体的な行動です。

同時に、未公開であることは物件の品質を意味しません。囲い込みのリスク、価格の妥当性、物件自体の問題点を、公開物件と同じ基準で冷静に評価する姿勢が求められます。住まい探しの情報源を広げたい方は、住宅ローンの金利比較も含めた資金面の準備と並行して進めてください。

住まい探しでは1社の情報だけでは全体像が見えません。複数の不動産会社に希望条件を伝えることで、各社が保有する未公開物件を含めた提案を受けられる可能性が広がります。物件情報一括請求サービスで複数社に無料で提案を依頼する

出典

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