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住宅ローン金利シミュレーション比較 — 変動vs固定vsフラット35で総返済額はいくら違うか

金利0.5%の差が35年で400万円になる

住宅ローンの総返済額は、借入額・金利・返済期間の3要素で決まります。借入4,000万円を35年で返済する場合、変動金利0.5%なら総返済額は約4,350万円、固定金利1.5%なら約5,140万円、フラット35 1.89%なら約5,470万円。金利タイプの選択だけで1,120万円の差が生まれます。

金利の低さだけで変動金利を選ぶのは危うく、金利の安定性だけで固定金利を選ぶのもまた合理的ではありません。日銀のマイナス金利解除(2024年3月)と追加利上げの局面で、変動金利を選ぶか固定で固めるかの判断は重みを増しています。この記事では2026年4月時点の金利環境で、借入額3パターン×金利タイプ3パターン×金利上昇シナリオ3パターンの総返済額を定量化し、金利タイプ選択の判断軸を整理します。

2026年4月時点の金利環境

住宅ローン金利の現状を整理します。

金利タイプ2026年4月の目安参考指標
都銀 変動金利(優遇後)0.3〜0.5%短期プライムレート連動
都銀 10年固定(優遇後)1.0〜1.4%国債利回り連動
フラット35(団信加入)1.85〜1.95%長期国債利回り連動
フラット35(団信なし)1.65〜1.75%同上、団信分マイナス0.2%

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、同年7月と2025年1月に追加利上げを実施しています。政策金利は0.5%前後まで引き上げられ、短期プライムレートに連動する変動金利は緩やかに上昇してきました。ただし都銀の優遇競争により、新規借入の適用金利は依然として0.3〜0.5%台にとどまっています。

フラット35は長期国債利回り(10年物)に連動します。国債利回りが1.4〜1.6%で推移する環境下では、フラット35金利は1.85〜1.95%前後で落ち着いており、歴史的には低水準ながらも変動金利との差は1.3〜1.5%と大きく開いています。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年4月公表)では、新規借入の79.0%が変動金利型を選択しています。一方、同調査で「今後1年間で住宅ローン金利が上昇する」と回答した利用者は73.7%に達しており、変動金利を選ぶ一方で金利上昇への警戒感も強まっている状況です。

借入額別×金利タイプ別 総返済額シミュレーション

返済期間35年・元利均等返済・金利一定の前提で、借入額と金利タイプ別の総返済額を試算します。

借入3,000万円

金利タイプ金利月々返済総返済額利息総額
変動金利0.5%約7.8万円約3,270万円約270万円
10年固定1.3%約8.9万円約3,730万円約730万円
全期間固定1.5%約9.2万円約3,860万円約860万円
フラット351.89%約9.7万円約4,090万円約1,090万円

借入4,000万円

金利タイプ金利月々返済総返済額利息総額
変動金利0.5%約10.4万円約4,350万円約350万円
10年固定1.3%約11.9万円約4,980万円約980万円
全期間固定1.5%約12.3万円約5,140万円約1,140万円
フラット351.89%約13.0万円約5,470万円約1,470万円

借入5,000万円

金利タイプ金利月々返済総返済額利息総額
変動金利0.5%約13.0万円約5,440万円約440万円
10年固定1.3%約14.8万円約6,220万円約1,220万円
全期間固定1.5%約15.3万円約6,430万円約1,430万円
フラット351.89%約16.2万円約6,830万円約1,830万円

借入5,000万円で変動金利(0.5%)とフラット35(1.89%)を比較すると、総返済額の差は約1,390万円。月々の返済額で3.2万円の差が出ます。この数字を見ると変動金利が有利に見えますが、これは「金利が35年間変わらなかった場合」という前提条件のシミュレーションです。変動金利のリスクは「将来の金利がどうなるか」の一点に集約されます。

変動金利の金利上昇シナリオ 3パターン

変動金利を選んだ場合、将来の金利がどう動くかで総返済額は大きく変わります。借入4,000万円を変動0.5%で契約したとして、3つの金利上昇シナリオで総返済額を試算します。

シナリオA: 緩やかな上昇(5年後に1.0%、15年後に1.5%)

期間金利月々返済累計返済
1〜5年目0.5%約10.4万円約624万円
6〜15年目1.0%約11.4万円約1,368万円
16〜35年目1.5%約12.3万円約2,952万円
合計約4,944万円

緩やかな上昇シナリオでは、総返済額は約4,940万円。固定1.5%の5,140万円より約200万円安く収まります。変動金利の優位性が残るパターンです。

シナリオB: 3年後に+0.5%、10年後にさらに+1.0%

期間金利月々返済累計返済
1〜3年目0.5%約10.4万円約374万円
4〜10年目1.0%約11.4万円約958万円
11〜35年目2.0%約13.2万円約3,960万円
合計約5,292万円

想定シナリオBでは総返済額は約5,290万円。全期間固定1.5%の5,140万円より約150万円高くなります。変動金利のメリットが相殺される境界線です。

シナリオC: 3年後に+1.0%、10年後にさらに+1.0%

期間金利月々返済累計返済
1〜3年目0.5%約10.4万円約374万円
4〜10年目1.5%約12.2万円約1,025万円
11〜35年目2.5%約14.2万円約4,260万円
合計約5,659万円

急速な利上げシナリオでは、総返済額は約5,660万円。フラット35の5,470万円より約190万円高くなり、固定金利を選んでおいた方が有利だった結果になります。

3つのシナリオから見えるのは、変動金利の「現在の安さ」は、将来の金利次第で固定金利を逆転される可能性があることです。金利が緩やかに1.5%程度まで上昇する場合は変動が有利ですが、急激に2.5%超まで上がる場合は固定のほうが安全になります。金利タイプの選択基準はフラット35と変動金利の比較でも詳しく整理しています。

固定金利・フラット35でロックする損益分岐点

固定金利を選ぶ判断は「変動金利がどこまで上昇したら固定のほうが有利になるか」の損益分岐点で考えると明確になります。

借入4,000万円・35年で、変動金利が固定1.5%より有利になる金利上昇パターンの境界線は、おおむね次のとおりです。

シナリオ変動の総返済額固定の総返済額判定
金利が変わらない約4,350万円約5,140万円変動が790万円有利
10年後から1.5%約4,790万円約5,140万円変動が350万円有利
5年後から2.0%約5,120万円約5,140万円ほぼ同等
5年後から2.5%約5,420万円約5,140万円固定が280万円有利
当初から2.5%約6,090万円約5,140万円固定が950万円有利

「5年後から2.0%」が変動と固定の損益分岐点の目安です。今後5年以内に政策金利が2%超に上昇する可能性を高く見る場合は固定金利、当面は緩やかな上昇に留まると見る場合は変動金利が合理的な選択になります。

フラット35の1.89%は全期間固定のなかでは割安な水準ですが、団信付きの場合は都銀の10年固定(1.0〜1.3%)より金利が高くなります。フラット35を選ぶメリットは、勤続年数要件がない(転職直後・自営業でも申込可能)、団信加入が任意で未加入なら金利を0.2%下げられる、住宅の技術基準を満たせば融資実行が確実という点です。金利だけで判断せず、条件面のメリットも含めて比較する必要があります。

ミックスローン・ペアローンの組み合わせ

金利上昇リスクを分散する方法として、ミックスローン(金利タイプを分ける)とペアローン(契約を分ける)があります。

ミックスローンは、借入4,000万円を「変動2,000万円+固定2,000万円」のように金利タイプを分けて契約する方法です。変動金利のメリット(低金利)と固定金利のメリット(安定性)を両取りできる一方、手数料が2本分発生し、事務手続きが複雑になります。金利上昇シナリオB(5年後+0.5%、15年後さらに+1.0%)でミックスローンを試算すると総返済額は約5,070万円。変動単独の5,290万円より約220万円有利で、固定単独の5,140万円より約70万円安く収まります。

ペアローンは、夫婦それぞれが別々の住宅ローンを組む方法です。1人2,000万円ずつ、夫は変動・妻は固定といった設計が可能で、住宅ローン控除も各自で受けられます。ただし、片方が退職・長期休業した場合でも各自の返済義務は残るため、どちらか1人の収入だけでも返済できる金額に抑える設計が不可欠です。

注文住宅の一括資料請求サービスで複数のハウスメーカーから資金計画書を取り寄せれば、各社が提案する金利タイプの組み合わせや提携金融機関の条件を横並びで比較できます。ハウスメーカー経由で借りる場合は優遇金利が上乗せされることもあるため、金利の比較は住宅会社選びと連動させる価値があります。

繰上返済で差を縮める方法

変動金利と固定金利の総返済額差は、繰上返済を組み込むことで縮められます。借入4,000万円を変動0.5%で契約し、毎年50万円の繰上返済を15年目まで続けるシナリオを試算します。

条件返済期間短縮総返済額節約効果
繰上返済なし(金利一定)35年約4,350万円
毎年50万円×15年繰上返済約28年約4,230万円約120万円
毎年100万円×15年繰上返済約23年約4,100万円約250万円

繰上返済の効果は金利が高いほど大きくなるため、固定金利1.5%で借りた場合は同じ繰上返済で約180〜400万円の節約効果が得られます。変動金利で借りて金利上昇局面に繰上返済のペースを上げる戦略も有効です。

繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。期間短縮型は返済期間を縮める効果が大きく、総利息の削減に有利です。返済額軽減型は毎月の返済額を下げる効果があり、家計の負担軽減に向きます。金利上昇局面では期間短縮型のほうが効果が大きいため、余裕資金がある場合は優先的に選ぶ選択肢です。

住宅ローンの詳細な借入可能額や返済計画は住宅ローン借入可能額の考え方、ローン控除の活用は住宅ローン控除の最新ルールもあわせて確認してください。毎月の返済額を詳しく計算したい場合は住宅ローンシミュレーターで条件を変えながら試算できます。

金利タイプの選択は、住宅会社・提携金融機関・借入条件によって実際の適用金利が変わります。複数社から資金計画書を取り寄せて比較することで、自分の条件に最も有利な金利タイプが見えてきます。注文住宅の一括資料請求で複数社の金利条件を無料比較する

よくある質問

変動金利が急上昇した場合、5年125%ルールは適用されますか

民間金融機関の多くの変動金利型ローンには「5年ルール」「125%ルール」が設定されています。5年ルールは「5年間は月々の返済額が変わらない」という規定、125%ルールは「次の5年間の返済額は前回の1.25倍を上限とする」規定です。この2つがあるため、変動金利が急上昇しても月々の返済額は緩やかにしか変わりません。ただし、金利上昇で月々返済が利息だけで賄えなくなると、元本が減らない「未払い利息」が発生し、最終的な総返済額は増えます。フラット35にはこのルールはなく、金利変動が直接月々返済に反映されます。

今から変動と固定、どちらを選ぶべきですか

金利上昇耐性の高さで判断してください。月々返済が1.5〜2倍になっても家計が回る世帯(年収に対して借入額が控えめ、貯蓄に余裕がある)は変動金利を選んで利息負担を抑えるメリットが大きくなります。一方、現在の返済額でギリギリの家計・借入額が年収の6倍超・貯蓄が少ない世帯は、固定金利で返済額をロックする方が安全です。2026年4月時点では日銀の追加利上げ観測もあり、フラット35の1.89%も歴史的には低水準のため、固定を選ぶ合理性が高まっています。

繰上返済はいつやるのが効果的ですか

住宅ローン控除期間(新築13年、既存住宅10年)が終わったタイミング、もしくは子どもの教育費ピーク前の30代後半が効果的なタイミングです。住宅ローン控除期間中は年末残高の0.7%が還付されるため、残高を減らしすぎると控除額が減ってしまいます。控除期間の14年目以降に繰上返済をすれば、控除のメリットを最大化しつつ利息削減もできます。ボーナス時にまとめて行うか、インターネットバンキングから毎月少額ずつ行うかは、手数料条件を確認して決めてください。

フラット35と銀行の全期間固定、どちらが有利ですか

銀行の全期間固定は金利1.0〜1.4%前後で、フラット35の1.89%より安いことが多い半面、勤続年数・年収・団信加入の要件が厳しく、借入期間も25〜30年までに制限されるケースがあります。フラット35は勤続年数要件なし、団信任意、最長35年返済と柔軟性が高いため、自営業・フリーランス・転職直後の方、団信で引受できない健康状態の方にメリットがあります。条件面で銀行の固定が借りられる場合は銀行を選ぶほうが金利面で有利です。

ミックスローンのデメリットは何ですか

事務手数料が2本分(1本あたり3〜11万円)、印紙代も2本分発生します。また、2本の返済管理が必要になるため口座振替の設定や残高確認が煩雑になります。金利メリットは年間0.1〜0.3%相当のため、借入4,000万円でも年間4〜12万円の差です。手数料と手間のコストを差し引くと実質的なメリットは小さく、よほど金利動向の見通しに自信がない限り単一の金利タイプを選ぶほうがシンプルで管理しやすくなります。

まとめ

住宅ローン金利の選択は、借入額・返済期間・金利の3要素で総返済額が大きく変わる判断です。2026年4月時点では変動金利0.3〜0.5%、都銀10年固定1.0〜1.4%、フラット35 1.85〜1.95%が標準的な水準で、借入4,000万円・35年の総返済額は金利タイプによって1,120万円以上の差が出ます。

変動金利は「金利が緩やかにしか上がらない」前提では最も有利ですが、5年後に2.5%まで急上昇するシナリオでは固定を逆転されます。金利上昇耐性(借入額・貯蓄・年収余力)を自己評価し、家計がどこまで金利上昇を吸収できるかを判断基準にしてください。

ミックスローンや繰上返済を組み合わせれば、変動の金利メリットを享受しつつリスクを抑える設計も可能です。複数の住宅会社・金融機関から見積もりを取り、提携金融機関の優遇条件も含めて比較することが、総返済額を最小化する最も確実な手順です。

出典

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